記録 03
窓の白い線
違う写真は、ケースを封じる前から入っていた。契約は古い原作十二枚を対象としている。
二枚の写真を同じ大きさで並べると、窓に細い白線が見えた。
店の中に下がる布の端だった。千景の写真では斜め。展示写真では、もう少し垂直になっている。梨と手以外にも、動いたものがあった。
千景は撮影された店を覚えていた。父が青果店を営み、母と兄と一緒に、店先へ立ったという。撮影日は一九九八年十一月十五日。家族の写真の裏に、母の字で残っていた。
「一回しか撮られてない気がしてたけど、ずっと動かないように言われてました」
記憶は、撮影回数の証明にはならない。澄はそう断ってから、写真を借りる受領書を渡した。
修平は、館内に残ったネガを調べてよいと返事をした。ただし、父の作品の評価にかかわるので、外へ話を広げないでほしいという。
澄は展示室の責任者へ報告した。七枚目の説明は『原作確認中』に差し替え、十二枚すべての確認が終わるまで、作品を外へ貸し出さないことにした。
閉店した写真館の棚には、年ごとの紙箱が並んでいた。一九九八年の箱だけ、ふたに新しい指の跡がある。
箱の中は空ではなかった。薄い袋の番号は、十七の次が十八。二つの袋に、同じ家族の姓が書いてあった。
今日判明したこと
- 窓の布も動いており、単なる切り抜きでは説明しにくい。
- 七枚目の説明を原作確認中に変更し、貸出を止めた。
- 写真館には同じ家族名で十七番と十八番のネガ袋がある。
読者推理
十七番と十八番の袋は、何を示すと思いますか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。