記録 04
十七番と十八番
二枚の違いは撮影時の動きらしい。写真館には同じ家族名のネガ袋が二つ残っていた。
立花はネガへ触れず、下から光を当てて見せた。
小さな像の明暗は反転している。それでも、十七番の足元には梨があり、十八番にはないことが分かった。家族の控えは十七番。展示写真は十八番から作られていた。
「修正ではなく、隣の一枚です」
澄は作業記録に二つの番号を書いた。二枚とも本物の撮影だった。偽物という言葉だけでは、今回の問題を説明できない。
箱には、過去に十二枚をまとめて展示したときの小冊子があった。七枚目の小さな掲載写真は、梨が落ちた十七番。現在の展示とは違う。
冊子の表紙には『三枝康雄写真展 二〇〇六年』とある。寄贈作品の一覧も、この展示の十二枚を引き継ぐと指定していた。
澄は修平に画像を送った。返事は、『額に入れる前に、父が別の方を選び直したのかもしれない』だった。
康雄が亡くなったのは二〇一九年。今回の額装は十月二十七日だ。選び直しがいつ行われたのか、説明はまだなかった。
展示室は十二枚と保管資料の処分を止めるよう書面で伝え、取引先にも所在確認を始めた。箱の底には、今年の印画紙の納品書が折られていた。
今日判明したこと
- 家族の控えは十七番、展示写真は十八番のネガから作られた。
- 二〇〇六年の連作では、梨のある十七番が使われていた。
- 古いネガの箱に、今年の印画紙の納品書がある。
読者推理
現時点で最も疑うべき説明はどれでしょう。
投票結果によって本編の結末は変わりません。