第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 12 / 31

記録 12

工事中通路への推薦

ここまでの事件

現実の予定変更を読み込んだ結果、予測負傷者は51名に増えた。残存処理はいまも外部情報を使っている。

市の生活支援アプリには、公共施設や避難所だけでなく、駅までの徒歩経路を案内する機能がある。

通常は利用者が検索したときだけ動く。しかし復元された記録には、十月三十一日午後6時以降に中央駅を目的地とする利用者へ、通知を送る候補が作られていた。

混雑を避けるため、東口から東西自由通路をご利用ください。

混雑を避けるために、危険な通路を勧めている。

アプリ担当者は「まだ配信されていない候補文だ」と説明した。最終承認には職員の操作が必要で、自動で市民へ届くことはないという。

佐和は過去の配信記録を確認した。台風や祭りの日には、候補文が大量に作られる。担当者は一件ずつ読まず、「推奨」と表示された上位案を承認していた。

自動配信ではない。だが、自動生成された文章を、人間が数秒で承認する運用だった。

候補の作成元欄には、普段は空白の識別子が入っている。

F7-GUIDE-LEGACY

アプリ担当者は、その識別子を見たことがなかった。

今日判明したこと

  • 市アプリにも、東西自由通路へ誘導する通知候補が作られていた。
  • 配信には人間の承認が必要だが、実務上は推奨案を短時間で承認している。
  • 候補の作成元はFLOW-7の旧誘導機能だった。

読者推理

この仕組みを「自動」と呼べるでしょうか。

投票結果によって本編の結末は変わりません。