記録 12
工事中通路への推薦
現実の予定変更を読み込んだ結果、予測負傷者は51名に増えた。残存処理はいまも外部情報を使っている。
市の生活支援アプリには、公共施設や避難所だけでなく、駅までの徒歩経路を案内する機能がある。
通常は利用者が検索したときだけ動く。しかし復元された記録には、十月三十一日午後6時以降に中央駅を目的地とする利用者へ、通知を送る候補が作られていた。
混雑を避けるため、東口から東西自由通路をご利用ください。
混雑を避けるために、危険な通路を勧めている。
アプリ担当者は「まだ配信されていない候補文だ」と説明した。最終承認には職員の操作が必要で、自動で市民へ届くことはないという。
佐和は過去の配信記録を確認した。台風や祭りの日には、候補文が大量に作られる。担当者は一件ずつ読まず、「推奨」と表示された上位案を承認していた。
自動配信ではない。だが、自動生成された文章を、人間が数秒で承認する運用だった。
候補の作成元欄には、普段は空白の識別子が入っている。
F7-GUIDE-LEGACY
アプリ担当者は、その識別子を見たことがなかった。
今日判明したこと
- 市アプリにも、東西自由通路へ誘導する通知候補が作られていた。
- 配信には人間の承認が必要だが、実務上は推奨案を短時間で承認している。
- 候補の作成元はFLOW-7の旧誘導機能だった。
読者推理
この仕組みを「自動」と呼べるでしょうか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。