記録 23
野々村が残した仕掛け
毎日の記録は、野々村が一年前に準備した段階開示ファイルとみられる。危険が消えなければ、最終日に全証拠が外部へ送られる。
音声メモの後半が開いた。
私が退職した後、問題が解決したか確認する方法がありません。会社の設備も、市の本番環境も使わず、非常時用バックアップに監視処理だけを残します。
野々村は、自分の仕掛けが正当な手続きではないことも認めていた。
無断で残す以上、私も責任を負います。ただ、今すぐ資料を公開すれば、原因調査より先にシステムを隠される可能性がある。危険条件が再び揃ったとき、関係者へ一日ずつ記録を戻します。
三十一日に設定した理由は、前年の事故からちょうど一年後だからではなかった。FLOW-7の旧ルールが保持する予定の有効期限が、二年目の十一月一日に切り替わる。更新前に欠陥を確認できる最後の月が十月だった。
最後に、野々村はこう話した。
警告をAIからの言葉だと思わないでください。これは私が書いたものです。計算は機械にさせましたが、知らせると決めたのは人間です。
秋山へ届いた匿名資料も、送信先一覧に含まれていた。野々村本人が今も送っているのではない。彼が一年前に選んだ宛先だった。
今日判明したこと
- 警告は野々村が残した内部告発用安全装置だった。
- 機械が自発的に助けを求めていたわけではない。
- 十月は、古いルールが更新される前に欠陥を確認できる最後の期間だった。
読者推理
野々村の行動をどう評価しますか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。