記録 13
消えた構成図の一枚
駅だけでなく市アプリにも、FLOW-7由来の誘導案が残っていた。人間の承認があるため、完全自動ではないように見える仕組みだった。
FLOW-7の設計資料は、全十二枚のはずだった。
市が保管する構成図は十一枚。番号は1から12まで揃っているが、8だけがない。欠落を隠すように、目次では九枚目以降の番号が詰め直されていた。
復元された八枚目には、中央の予測エンジンと外部サービスの間に「行動調整層」という箱が描かれていた。
入力は人流センサー、時刻表、催事予定、工事情報。出力は駅表示、市アプリ、バス案内、信号提案、店舗通知。それぞれへ同じ指示を送るのではなく、全体として混雑が減るよう、別々の案内を組み合わせる設計だった。
秋山は図を見て言った。
「混雑を予測するだけなら、この箱はいりませんね」
図の脚注には「予測と誘導を繰り返す仕組み制御」とある。予測した結果に応じて案内を変え、人の動きが変われば、再び予測する。案内と予測を繰り返す仕組みだ。
佐和は設計変更の決裁記録を探した。行動調整層を追加した契約変更は見つからない。代わりに、受託会社の作業報告へ「精度改善用補助機能」として記載されていた。
重要な機能が、追加契約ではなく「改善」の一言で組み込まれている。
今日判明したこと
- 欠けていた構成図には「行動調整層」が描かれていた。
- FLOW-7は予測と案内を繰り返す予測と誘導を繰り返す仕組み型システムだった。
- 行動を変える重要機能が、正式な契約変更なしで追加されていた。
読者推理
構成図の一枚を消した目的は?
投票結果によって本編の結末は変わりません。