第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 05 / 31

記録 05

食い違う終了理由

ここまでの事件

FLOW-7は予測結果を駅や市アプリへ渡していた可能性がある。しかし、その機能は市民向け資料から削除されていた。

実証実験の終了理由は、資料によって三つあった。

市民向け発表は「所定の検証期間を終えたため」。議会提出資料は「予測精度が目標値に届かなかったため」。受託会社の事業報告は「運用体制の見直しにより終了」。

秋山が情報公開請求で得ていた会議録には、別の表現があった。

外部連携時の挙動について、再現性の確認が終わっていない。

その直後の三行は黒く塗られていた。参加者一覧には、水瀬佐和、榊原征一、北辰データシステムズの野々村遼。佐和も出席した会議のはずだった。

「覚えていないんですか」

秋山に聞かれ、佐和は議事録の日付を見直した。

会議は前年十一月六日、午後8時30分開始。佐和はその日、別室で廃止発表の想定問答を作っていた。出席者欄には名前があるが、会議に入った記憶はない。

庁内に残る別版の議事録を探すと、開始時刻が午後6時に変わり、「外部連携時の挙動」という一文自体が消えていた。作成者は同じ。文書番号も同じ。

一つの会議に、内容の違う二つの確定版がある。

そして復元ファイルには、黒塗り前の文章が一行だけ残っていた。

案内出力の競合により、群衆集中を誘発した可能性。

今日判明したこと

  • 実証実験の終了理由は、公表先ごとに食い違っていた。
  • 同じ文書番号の議事録が二種類存在する。
  • 内部では、案内出力が群衆集中を誘発した可能性が指摘されていた。

読者推理

二つの議事録を作らせた人物は誰だと思いますか。

投票結果によって本編の結末は変わりません。