記録 06
停止では不十分
FLOW-7の終了理由は書類ごとに異なり、内部では案内出力が群衆集中を招いた可能性が指摘されていた。
六件目の復元資料は、保守作業の申請書だった。
申請者は北辰データシステムズ、野々村遼。件名は「FLOW-7連携機能の全停止および接続先撤去」。対象欄には、市アプリ、駅案内、バス案内、信号制御提案、提携店舗通知と並んでいる。
申請理由には、赤字でこう書かれていた。
中央演算部の停止のみでは不十分。各接続先に保持されたルールが、単独で案内を生成する可能性がある。物理・論理双方の接続解除を確認すること。
決裁欄には、野々村の上司と市の担当課長の印がない。代わりに「主サーバー停止作業へ統合」と手書きされ、申請は取り下げ扱いになっていた。
佐和は当時のメールを検索した。野々村からの未読メールが一通、古い整理フォルダに残っていた。
水瀬様。止める対象を一つのシステムだと考えないでください。出力先に残った自動処理も、FLOW-7の一部です。
送信は、彼が退職する三日前。佐和は廃止発表の対応に追われ、件名だけ見て担当部署へ転送していた。
「私も、主サーバーを止めれば終わると思っていた」
秋山は慰めなかった。ただ、申請書の対象欄を指でなぞった。
「この五つ、全部いま動いていますよね」
今日判明したこと
- 野々村は、主サーバー停止だけでは危険が残ると警告していた。
- 五つの接続先を撤去する申請は、主サーバー停止作業へ統合され実施確認がない。
- 各接続先が古いルールを単独実行する可能性がある。
読者推理
最初に調べるべき接続先はどれだと思いますか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。