記録 26
月末後まで待て
43名は予言ではなく、一年前の事故データを現在の条件へ当てはめた中央値だった。危険の根拠は揃いつつある。
対策会議の前夜、市幹部の間で交わされたメールが復元された。
件名は「FLOW-7関連照会への対応方針」。本文には、安全対策より先に公表時期が書かれていた。
月末までは技術的確認中と回答する。
十一月一日以降、実証事業の事後検証として整理する。
現時点で警察・報道への積極的提供は行わない。
事故予測の日を過ぎてから調査する方針だった。
榊原は送信者ではない。ただし返信で「不用意な公表は群衆行動そのものを変え、別の危険を生む」と書いていた。それは事実でもある。駅で事故が起きると広く伝えれば、野次馬や混乱が増える可能性がある。
秋山は、匿名情報だけで記事を出す準備を始めた。佐和は市の内部調査報告を正式に残し、鉄道会社と警察へ直接提出する道を選ぼうとした。
「手続きの中に戻したら、また止められるかもしれない」
「報道だけが先に出たら、駅が対応する前に人が集まる」
二人の目的は同じだった。方法だけが食い違った。
その日の午後、佐和へ異動の内示が出た。十一月一日付。FLOW-7と無関係の部署だった。
今日判明したこと
- 市幹部は、調査と公表を事故予測日の後へ回そうとしている。
- 公表が新たな混乱を生む危険もあり、単純な即時公開が正解とは限らない。
- 佐和には、月明けの異動内示が出た。
読者推理
佐和が今とるべき行動は?
投票結果によって本編の結末は変わりません。