記録 09
一覧にない制御端末
朝凪中央駅では、中央管理の履歴に残らない旧型案内板が無人の時間に動いていた。
久我は駅の設備台帳を三世代分並べた。
現行台帳では、案内制御端末は二台。五年前の台帳では三台。十年前の図面には四台ある。減った二台のうち一台は撤去記録があるが、もう一台は「設備統合」の一言で消えていた。
「場所は分かりますか」
佐和が聞くと、久我は旧図面の北側を指した。
「駅員用通路の奥です。ただ、改装後は倉庫の壁になっている」
壁を外す許可には時間がかかる。代わりに久我は、当時の保守担当者へ電話した。退職した担当者は端末を覚えていた。
あれは撤去していない。新しい案内盤への古い中継機として残した。FLOW-7の試験中、混雑に応じて表示案を受け取る機能を追加したはずだ。
古い中継機。台帳上は案内端末ではなく、付属設備として扱われる。だからFLOW-7の廃止対象一覧にも、駅の現行端末一覧にも載らない。
久我が通信設備の簡易監視を確認すると、存在しないはずの機器から、一日数回だけ短い信号が出ていた。宛先は案内板だけではない。駅前の臨時バス表示にも線が伸びている。
「壁の向こうで、まだ仕事をしている」
久我はそう言った。
今日判明したこと
- 設備台帳から消えた旧制御端末が、壁の向こうに残っている可能性が高い。
- 端末はFLOW-7の表示案を現場設備へ渡す古い中継機として使われていた。
- 端末から案内板と臨時バス表示へ信号が出ている。
読者推理
端末を今すぐ停止するべきでしょうか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。