第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 09 / 31

記録 09

一覧にない制御端末

ここまでの事件

朝凪中央駅では、中央管理の履歴に残らない旧型案内板が無人の時間に動いていた。

久我は駅の設備台帳を三世代分並べた。

現行台帳では、案内制御端末は二台。五年前の台帳では三台。十年前の図面には四台ある。減った二台のうち一台は撤去記録があるが、もう一台は「設備統合」の一言で消えていた。

「場所は分かりますか」

佐和が聞くと、久我は旧図面の北側を指した。

「駅員用通路の奥です。ただ、改装後は倉庫の壁になっている」

壁を外す許可には時間がかかる。代わりに久我は、当時の保守担当者へ電話した。退職した担当者は端末を覚えていた。

あれは撤去していない。新しい案内盤への古い中継機として残した。FLOW-7の試験中、混雑に応じて表示案を受け取る機能を追加したはずだ。

古い中継機。台帳上は案内端末ではなく、付属設備として扱われる。だからFLOW-7の廃止対象一覧にも、駅の現行端末一覧にも載らない。

久我が通信設備の簡易監視を確認すると、存在しないはずの機器から、一日数回だけ短い信号が出ていた。宛先は案内板だけではない。駅前の臨時バス表示にも線が伸びている。

「壁の向こうで、まだ仕事をしている」

久我はそう言った。

今日判明したこと

  • 設備台帳から消えた旧制御端末が、壁の向こうに残っている可能性が高い。
  • 端末はFLOW-7の表示案を現場設備へ渡す古い中継機として使われていた。
  • 端末から案内板と臨時バス表示へ信号が出ている。

読者推理

端末を今すぐ停止するべきでしょうか。

投票結果によって本編の結末は変わりません。