第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 03 / 31

記録 03

警告はどこから届いたか

ここまでの事件

主サーバーの物理廃棄は事実だったが、関連サービスの切断を証明する別紙が消えていた。

メールの差出人欄は、差出人を証明しない。

そう説明されても、佐和にはすぐ理解できなかった。情報システム管理室が示したのは、メールが通過した経路の記録だった。

外部の通信網から庁内へ入った形跡はない。最初の記録地点は、市が遠隔地のデータセンターに借りている非常時用バックアップ。大規模障害の際、最低限の行政サービスを再開するための複製データが置かれている場所だった。

「去年、削除したはずです」

佐和が言うと、担当者は首を振った。

「本番環境からは削除されています。ただ、復旧領域は毎日更新される箱ではない。凍結したバックアップの中に、古い処理が残っていた可能性はあります」

添付された送信経路図には、復旧領域内の名称が一つだけ記されていた。

ASNG-DR / continuity_jobs / f7_watch

最終更新日は前年十月三十一日。FLOW-7の実証実験が終了する八日前だった。

佐和は、その名称を庁内文書で検索した。該当はゼロ。正式な引き継ぎ資料にも存在しない。

夕方、佐和は地域ニュースサイト「朝凪日報」の記者、秋山真帆に連絡した。一年前の発表を取材していた人物だ。まだ内部資料は見せず、「廃止された実証事業について確認したい」とだけ伝えた。

秋山の返事は早かった。

「ちょうど昨日、同じ事業について匿名の情報提供がありました」

今日判明したこと

  • 警告メールは外部から侵入したのではなく、市の非常時用バックアップから送信された。
  • f7_watchという未記録の処理が残っている。
  • 秋山記者にも、FLOW-7に関する匿名情報が届いていた。

読者推理

匿名情報の送り主は誰だと思いますか。

投票結果によって本編の結末は変わりません。