記録 20
案内板を止めた結果
駅の旧端末は、中央サーバーなしでも古い案内ルールを実行できた。十月三十一日の予約も内部に残っている。
平日昼の利用者が少ない時間を選び、久我は旧案内系統を十五分だけ停止した。
駅員を増員し、表示が消えても誘導に支障がないことを確認した上での試験だった。佐和たちは、復旧領域の監視処理が変化を捉えるかを待った。
午後2時03分、予定外の予測更新が届いた。
旧案内系統:応答なし
一つの設備を止めただけで、予測は二十三名減った。
警告処理は、残存設備の稼働状況まで見ている。これは単なる録音済みの脅迫文ではない。野々村が残した監視プログラムは、現在の条件を古いモデルへ渡し、危険度を計算し直していた。
だが十五分後、案内系統を再起動すると予測は51名へ戻った。駅の通常運用上、長期間止めるには代替手段と正式な決裁が必要だった。
佐和は更新通知を榊原へ転送した。
返事は一行だった。
他の条件でも同様の比較を行い、月末までの対策案を提出せよ。
権限を止めた榊原が、初めて調査の継続を認めた。
今日判明したこと
- 旧案内系統の一時停止で、予測負傷者は51名から28名へ下がった。
- 警告処理は現在の設備状況を読み、予測を更新している。
- 市は初めて、正式な対策案の作成を指示した。
読者推理
この比較結果は、どこまで事故の証拠になると思いますか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。