第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 24 / 31

記録 24

事故条件が揃う日

ここまでの事件

警告はAIの意思ではなく、野々村が残した内部告発用の仕掛けだった。危険条件が再び揃ったため、一年前の証拠が開示されている。

月末イベント計画書の最終版が提出された。

駅前広場の来場予測は一万二千人。午後6時20分にステージが終わり、約三千人が駅へ向かう。臨時列車からは九百人が降りる。団体バス六台は、西口工事のため乗り場を南側へ移す。

工事区画の実測では、東西自由通路の有効幅は通常の六割。出口付近には資材を運ぶための仮設扉があり、人が立ち止まると流れが二つに割れる。

佐和たちは条件を一つずつ監視モデルへ入れた。イベントだけなら危険度は低い。列車だけでも、工事だけでも事故予測は出ない。四つの条件と五つの案内が重なったときだけ、転倒連鎖の基準を超えた。

「一つの大きな故障じゃないんですね」

秋山が言った。

「全部、よくある小さな変更です」

だから誰も止めなかった。催事担当は終了時刻を延ばし、鉄道会社は需要に合わせて列車を増やし、工事担当は工程どおり通路を狭めた。それぞれの判断は正しい。

全体を見なかったことだけが、間違っていた。

今日判明したこと

  • 催事、臨時列車、団体バス、工事の四条件が十月三十一日に重なる。
  • どれか一つだけでは事故予測は発生しない。
  • 小さく正しい判断の組み合わせが、危険を作っていた。

読者推理

優先して変えるべき条件は?

投票結果によって本編の結末は変わりません。