記録 18
主サーバー停止で解決したのか
一年前の軽傷事故は正式報告から消され、市と受託会社の間で責任の所在も消えていた。
榊原征一は、正式な聞き取りに応じた。
佐和、秋山、久我の三人に対し、彼は録音を条件に自分から示した。後で発言の一部だけを使われることを警戒しているようだった。
「危険を知っていたのですか」
秋山が聞いた。
「軽傷者が出たことは知っていた。原因は確定していなかった」
「野々村さんは全接続先の撤去を求めています」
「その申請も読んだ。だから中央の計算サーバーを停止した。命令を作る本体がなくなれば、末端は動かないという説明を受けた」
「誰から?」
榊原は数秒黙った。
「会社の管理職だ。野々村ではない」
失敗を公表すれば、国の補助事業の返還、議会調査、他のスマートシティ事業の停止が予想された。榊原は、危険な機能を早く止めるためにも、問題を広げない方がいいと判断したという。
「隠したのではなく、終わらせようとした」
「でも、終わっていません」
佐和が言った。
榊原は初めて目をそらした。
聞き取りの最後、彼は一枚の古いメールを差し出した。北辰データシステムズからの停止完了報告だった。末尾に、小さく条件が付いている。
市および接続事業者が管理する端末は、本作業の対象外とする。
今日判明したこと
- 榊原は危険を認識していたが、主サーバー停止で解決すると判断した。
- 全接続先の確認より、事業を早く静かに終わらせることを優先した。
- 受託会社の停止作業は、市や駅が管理する端末を対象外としていた。
読者推理
榊原の判断をどう評価しますか。
投票結果によって本編の結末は変わりません。