記録 15
これは予測器ではない
市は、利用者を望ましい経路へ動かす機能へ代金を支払っていた。資料を示された榊原は調査を止めようとした。
復元ファイルは、七分三十八秒の音声だった。
話しているのは野々村遼。録音日は前年十月二十九日。声は低く、何度も言葉を選び直していた。
FLOW-7を予測器と呼ぶのは正確ではありません。予測に基づいて案内を変え、その案内を見た人の行動を、次の入力として使います。
うまく動けば混雑を分散できます。しかし接続先の更新時刻がずれたり、古い地図を使う機器が混ざったりすると、複数の案内が同じ場所を安全だと判断することがあります。
短い雑音の後、野々村は続けた。
このシステムは、予測した結果を自分で作ることができます。
秋山は再生を止めた。
「自分で、というのは意思があるという意味ですか」
「違うと思います」
佐和は構成図を指した。
「自動ドアが人を挟んでも、ドアに悪意はない。これはもっと大きくて、誰にも全体が見えない自動ドアみたいなものです」
音声の後半四分は暗号化されていた。解除予定日は十月二十三日。その日付も、記録を一件ずつ見せるために最初から設定されていた。
今日判明したこと
- FLOW-7は、予測と誘導を循環させるシステムだった。
- 接続先の時刻や地図が一致しないと、案内が一か所へ集中する危険がある。
- 野々村は「予測した結果を自分で作る」と警告していた。
読者推理
この危険を最も正確に表す言葉は?
投票結果によって本編の結末は変わりません。