第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 15 / 31

記録 15

これは予測器ではない

ここまでの事件

市は、利用者を望ましい経路へ動かす機能へ代金を支払っていた。資料を示された榊原は調査を止めようとした。

復元ファイルは、七分三十八秒の音声だった。

話しているのは野々村遼。録音日は前年十月二十九日。声は低く、何度も言葉を選び直していた。

FLOW-7を予測器と呼ぶのは正確ではありません。予測に基づいて案内を変え、その案内を見た人の行動を、次の入力として使います。

うまく動けば混雑を分散できます。しかし接続先の更新時刻がずれたり、古い地図を使う機器が混ざったりすると、複数の案内が同じ場所を安全だと判断することがあります。

短い雑音の後、野々村は続けた。

このシステムは、予測した結果を自分で作ることができます。

秋山は再生を止めた。

「自分で、というのは意思があるという意味ですか」

「違うと思います」

佐和は構成図を指した。

「自動ドアが人を挟んでも、ドアに悪意はない。これはもっと大きくて、誰にも全体が見えない自動ドアみたいなものです」

音声の後半四分は暗号化されていた。解除予定日は十月二十三日。その日付も、記録を一件ずつ見せるために最初から設定されていた。

今日判明したこと

  • FLOW-7は、予測と誘導を循環させるシステムだった。
  • 接続先の時刻や地図が一致しないと、案内が一か所へ集中する危険がある。
  • 野々村は「予測した結果を自分で作る」と警告していた。

読者推理

この危険を最も正確に表す言葉は?

投票結果によって本編の結末は変わりません。