第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 21 / 31

記録 21

同じ通路へ向かう時刻表

ここまでの事件

旧案内系統を一時停止すると、予測負傷者は51名から28名へ下がった。市はようやく正式な対策案の作成を認めた。

佐和たちは、十月三十一日に動くサービスを一分刻みで一枚の表へ重ねた。

午後6時20分、駅前イベント終了。6時28分、市アプリが帰宅経路の通知候補を作成。6時31分、臨時列車到着。6時35分、団体バス案内開始。6時38分、歩行者信号の混雑緩和提案。

管理部署はすべて違う。各担当者が見ていた予定表も違う。

駅はホームの混雑を避けるため東西通路を示す。アプリは最短距離として東西通路を勧める。バスは西口の乗り場変更に合わせ、東口の団体客を東西通路へ送る。信号側の提案は駅前横断歩道の待ち時間を延ばし、通路出口に人をためる。

個別には合理的な案内が、六分間に集中していた。

表の右端には、FLOW-7が一年前に使っていた「調整間隔」が記されている。十分ごと。中央サーバーが生きていた頃は、その間隔で案内の競合を修正していた。

今は調整役だけがいない。演奏者がそれぞれ古い楽譜を持ち、指揮者なしで同じ小節へ入ろうとしている。

午後6時42分は、混雑が始まる時刻ではなかった。ずれた案内が最も重なる時刻だった。

今日判明したこと

  • 五つのサービスが、午後6時28分から38分の間に同じ通路へ人を誘導する。
  • 各案内は個別には合理的だが、全体を調整する中央機能だけが停止している。
  • 18時42分は、案内の競合が最大になる時刻だった。

読者推理

事故回避に最も有効な方法は?

投票結果によって本編の結末は変わりません。