第1事件 / 2026年10月

10月31日の
予測

停止したはずのシステムが、まだ起きていない事故を知らせた。31日間で記録をたどる、現実にありそうな技術ミステリー。

10月1日—31日 全31話 約3〜5分
OCTOBER 2026記録 08 / 31

記録 08

無人の案内板

ここまでの事件

野々村の作業者IDを所有者とする自動処理が、毎朝証拠を送っていた。佐和は監視下に置くことを条件に、停止を一日保留した。

復元されたのは、朝凪中央駅の防犯カメラ映像から切り出した三枚の静止画だった。

午前2時10分。終電後の東西自由通路に人影はない。最初の画像では案内板が消灯している。二枚目では「西口工事中」と表示。三枚目では、工事中のはずの西口を示す矢印が点灯していた。

切り替わった時刻は午前2時13分。駅の保守記録に作業はない。

佐和と秋山は駅設備管理責任者の久我直人を訪ねた。久我は画像を見ると、すぐ案内制御室へ電話した。

「新しい案内盤は中央管理です。履歴が残る。こんな切り替えはしていません」

「古い案内盤は?」

秋山が聞いた。

久我は答える前に、画像を拡大した。矢印の形が現行機と違う。角が丸く、色もわずかに薄い。

「これは新型の表示じゃない。上から被せてあるだけで、中に旧型の発光部が残っている場所があります」

改修費を抑えるため、旧設備の筐体を再利用した区画があるという。制御線は切断したはずだが、久我自身が確認したわけではない。

駅の履歴にない切り替えを、駅の中の古い設備が実行していた。

今日判明したこと

  • 終電後、無人の通路で案内表示が自動的に切り替わった。
  • 表示は中央管理された新型ではなく、筐体内に残る旧型設備のものだった。
  • 駅の保守記録には切り替え履歴がない。

読者推理

旧型案内板が切り替わった理由は?

投票結果によって本編の結末は変わりません。