記録 02
廃止されたはずのサーバー
停止済みの交通予測システムFLOW-7から、10月31日に朝凪中央駅で43名が負傷するという警告が届いた。根拠記録は一日一件ずつ復元されるという。
午前4時12分に届いた二通目のメールには、PDFが一つ添付されていた。
表題は「FLOW-7基盤設備廃止完了証明書」。佐和が何度も見た書類だった。主サーバー二台と検証機一台は、前年十一月にデータを消去したうえで、機械そのものを処分。機器番号、搬出時刻、処理業者の受領印まで揃っている。
偽造には見えなかった。というより、本物だった。文書管理システムに保存された原本と照合すると、電子署名の値まで一致した。
情報システム管理室の担当者は、画面から目を離さず言った。
「壊した機械がメールを送ることはありません」
「では、同じ名前の別の機械が残っている?」
「FLOW-7という一つの箱があったわけじゃないんです。計算する本体があり、データを渡す中継機があり、障害時に復旧するための保存領域がある。本体を捨てても、全部が同時に消えるとは限らない」
廃止証明書が証明していたのは、三台の機器を処分したことだけだった。そこに接続していた先まで消したことは、どこにも書かれていない。
証明書の最終ページには、手書きの確認欄があった。
関連サービス切断確認:別紙参照
しかし添付ファイルにも、市の原本にも、その別紙はなかった。
今日判明したこと
- FLOW-7の主サーバーは実際に物理廃棄されていた。
- 廃止証明書は関連サービスの切断まで証明していない。
- 切断確認を記した「別紙」が原本から欠けている。
読者推理
警告を送っている可能性が最も高いものは?
投票結果によって本編の結末は変わりません。