記録 14
行動誘導最適化
FLOW-7には、人の流れを案内で変え、その結果を再予測する「行動調整層」があった。しかし正式な変更契約は見つからなかった。
秋山が見つけたのは、契約書本体ではなく、月次請求書に付いた作業明細だった。
追加検証:行動誘導最適化 八百四十時間
金額は「予測精度改善業務」の中にまとめられている。市の契約一覧で検索しても出てこないが、支払いは行われていた。
さらに、北辰データシステムズ側の作業目的にはこうある。
個別サービスの案内を協調させ、利用者の選択を望ましい経路へ分散する。
「利用者の選択を変える」と明記されていた。
佐和は榊原へ面会を求めた。現在は政策調整監となった彼は、資料の出所を最初に尋ね、内容には答えなかった。
「正式な調査に切り替えるべきです」
「まだ事故は起きていない」
「起きる可能性を、システム自身が警告しています」
「廃止済みのシステムを『自身』などと呼ぶな。それでは怪談になる」
言い方は冷静だった。だが榊原は、行動誘導最適化という文字を見た瞬間だけ、書類を伏せた。
面会後、佐和の庁内アカウントからFLOW-7関連フォルダへの権限が外された。
今日判明したこと
- 「行動誘導最適化」は実際に発注され、代金も支払われていた。
- 契約上は予測精度改善に含められ、市民や議会から見えにくくなっていた。
- 榊原は資料を見た後、佐和の閲覧権限を止めた。
読者推理
榊原が権限を止めた理由は?
投票結果によって本編の結末は変わりません。